FACULTY OF SCIENCE AND ENGINEERING, GRADUATE SCHOOL OF ENGINEERING, IWATE UNIVERSITY

システム創成工学科 電気電子通信コース

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研究紹介 Research

電子デバイス工学分野

電子材料設計

教授  西館 数芽
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半導体表面上における水素原子の吸着反応

スマホやコンピュータ,各種電子機器のなかには必ず半導体が組み込まれています。その半導体の性質は、バンドギャップや欠陥準位、不純物レベルなどの特殊な電子構造に由来します。また燃料電池やリチウムイオン電池、光触媒などは電子のやり取りで動作が進行します。 我々の研究室では東北大学サイバーサイエンスセンターおよび東京大学物性研究所の超並列スーパーコンピュータを駆使して、半導体や燃料電池材料、光触媒などにおける電子の振る舞いを探っています。パラメータを用いない計算のため物質の性質を予測する能力があります。未だこの世に存在しない物質を設計することも可能です。さらには原子の運動を追跡することもできます。



生体磁気計測システム

教授  小林 宏一郎
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心磁図計測システム

医療機器の開発と生体工学の研究を行っています。主に、心臓から発せられる磁場を超高感度磁気センサ(SQUID)で検出し記録する心磁図計測システムの開発を行っています。工学サイドから医療を支えるため、心磁図計測用の制御用電子回路の設計・制作、超電導技術を利用したSQUID磁測計による生体計測と解析プログラムの作成、アクティブ磁気シールドの電子回路の製作と磁気計測などが研究テーマです。さらに、災害後の建物や橋などの鉄筋コンクリートを検査や塩化物濃度を推定する、非破壊検査装置の開発にも取り組んでいます。



薄膜エネルギーデバイスの開発

准教授  叶 榮彬

薄膜電池開発用スパッタ装置

環境発電(エネルギー・ハーベスト)とは、自然界に存在するエネルギーを使って発電することを言います。人や橋梁の振動、室内の照明光、クルマの廃熱、放送の電波など、身の回りに存在するさまざまな自然のエネルギーを電気に変え、その電気を利用して人間の住みやすい環境を作り出しています。本研究室では、環境発電のキーデバイスとして薄膜二次電池と太陽電池、と環境やさしい有機薄膜デバイスの技術開発を行っています。



マイクロ波帯電磁複合材料の作製・評価と電波吸収体への応用

准教授  三浦 健司

磁性粉SEM像とマイクロ波帯
誘電率・透磁率評価用試験体

スマートな情報通信社会実現のため、高速通信だけでなくセンシングや電力伝送に電波を利用する試みが進んでいます。私たちは誘電特性と磁気特性を高周波帯で併せ持つ電磁複合材料とその応用デバイスに関する研究を行っています。応用のひとつとして、混練型木質プラスチックを母材とした電波吸収体を提案しており、電波干渉が起こっている空間でも違和感なく設置できる、内・外装材と一体化した電波吸収体の実現を目指しています。



酸化亜鉛系光デバイスの作製

助教  阿部 貴美
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光導電型ZnO-UVセンサ

酸素と亜鉛の化合物である酸化亜鉛(ZnO)は、化粧品、日焼け止め、医薬品に利用され、私たちの生活に身近な材料です。このZnOは半導体材料としても非常に魅力的です。ZnOの結晶は透明であり、可視光を透過して紫外線を吸収します。これは、ZnOのバンドギャップエネルギーが大きいためです。この特徴から、ZnOは高効率紫外線発光素子(UV-LED)やUV受光素子(UVセンサ)材料として期待されています。私たちはZnO単結晶の育成およびZnO単結晶基板を用いたZnO系光デバイスの研究・開発に取り組んでいます。



非接触バイタルセンシングと生体用信号処理技術の開発

助教  岩井 守生
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呼吸・心拍・血圧データを用いた異常検知の様子

生体計測工学及び信号処理技術に関する研究を行っております。主に非接触で心臓の情報を抽出する技術の開発を行っており、具体的には、webカメラや結合容量電極を用いて心拍・血圧・動態を計測する技術の開発を行っております。また、上記開発を行う上で、ノイズに対して微小な信号である心臓の信号を抽出するために信号処理技術にも着目し開発を進めています。これらの技術は遠隔・在宅医療等に応用可能であり、安心安全な社会の実現におけるいくつかの課題の解決に貢献できると考えております。



通信・電子システム工学分野

温度の計測および制御に関する研究

教授  長田 洋
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温度は物質の物理的特性に関わる重要なパラメータであると共に、生物の生命活動や環境の変化等にも 大きく寄与する物理量であり、その計測・制御技術は常に科学の関心事の一つとなっています。 本研究室では温度計測技術として磁気温度センサを、温度制御技術として生物型熱制御機構の検討を行っています。
磁気温度センサは、温度によって磁気特性が変化する感温フェライトを測温素子とすることで、 試料と直接接触させて測定対象の温度を高分解能で測定でき、かつ、その温度情報が磁気特性の変化により 非接触で読み出せることから、試料へ与える熱的影響を抑えることができるため、 微小温度変化の精密な計測に適したデバイスです。
また、岩手県等の寒冷地に自生するザゼンソウと呼ばれる植物は、氷点下を含む外気温度の変動にも関わらず、 その体温を20℃程度に維持することができる恒温植物であり、その熱制御は、温度センサと発熱機能を併せ持つ 細胞レベルにおける制御を基本としています。 本研究では、農学研究科との共同研究により、微小スケールを有するザゼンソウ型熱制御理論に基づく 工学的温度制御デバイスの開発を行っています。



レーザーSQUID顕微鏡の研究

准教授  大坊 真洋

レーザーSQUID顕微鏡

レーザー光を半導体に照射すると、光電効果により電流が発生します。 この電流がつくる磁場を超伝導量子干渉素子(SQUID)で計測する原理のレーザーSQUID顕微鏡を研究しています。
高温超伝導SQUIDは、100fT以下(地磁気の約1億分の1程度)の微弱な磁気信号を検出することができ、 非常に高感度です。レーザーSQUID顕微鏡の特徴は、対象に接触しないので不純物汚染がなく、 しかも10μm程度の高い空間分解能を実現できることです。 シリコンのp-n接合や太陽電池の結晶粒界も画像化が可能です。
また紫外線レーザーを使用することによって、GaN青色ダイオードのショート箇所の判定が可能となりました。 電気接触が困難なワイドバンドギャップ半導体への新しい検査方法として期待できます。



アンテナシステムに関する研究

教授  本間 尚樹
研究室Webサイト

高効率小型アンテナ素子

携帯電話に代表されるように、無線通信は皆さんの生活に広く浸透しています。 また、小型の携帯端末でも写真やビデオ等の大きなデータを扱うようになりました。 しかしながら多数のユーザが高速無線通信を快適に使うためには周波数が不足しており、電波枯渇問題の解決が急務となっています。 そのような背景の下、本研究室では高速・大容量な無線通信を実現するアンテナシステム技術について取り組んでいます。 また、人と人だけではなく物と者どうしの通信や、無線通信技術の非通信分野への適用法についても検討を行っています。
複数の送受信アンテナを用いて複数の信号を同時送受信するMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)伝送は周波数帯域を 拡張せずに伝送速度を向上する画期的技術です。携帯電話などの小型デバイスに適した小形かつ高性能なアンテナの 研究・開発を行っています。 また、無線タグ向けの超省電力・高速信号伝送法や非接触・無線電力伝送についても研究を行っています。 また、MIMOシステムを応用することによって、人物や動物を検知するセンサシステムについても研究を行っており、 屋内環境ではほぼ100%の確率で人物の侵入を検出するという成果が得られています。

電気エネルギー工学分野

パルスパワーとカミナリが拓く農学と工学の連携

教授  高木 浩一
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きのこへのカミナリ印加

森林内でのパルス印加実験

パルスパワーとは、小さな電力を貯め、100万分の一秒以下の一瞬の時間で大電力を放出することを可能とする電気エネルギーの時空間制御技術であり、通常では出来ない現象を皆さんの目の前で引き起こすことができます。卓上で発生するミニカミナリもその一つです。本研究では、このパルスパワーやカミナリを用いた農業応用を行っています。具体的には、カミナリによる刺激によるキノコの増産、野菜の栽培に用いる培養液や土壌の殺菌・有害物質の分解など、青果物生育環境制御による「農産物の生産性向上」、エチレンなどの腐敗ガスの分解やカビの捕集による「収穫後農産物の鮮度保持」、非加熱での細胞破壊による抽出や酵素制御などによる「新しい食品加工技術の開発」などの多様な取り組みをしています。研究室では学生や教員が共同研究先などと一緒に楽しみながら研究をし、農業従事者の不足や、食糧不足、フードロス等の課題の解決に挑んでいます。

静電気とプラズマによる持続可能な社会の構築へのアプローチ

准教授  高橋 克幸
研究室Webサイト

小型気中プラズマ発生装置(空気清浄)

水中プラズマ

冬になると特に身近に感じる静電気や、美しいオーロラなどで知られているプラズマを、パワーエレレクトロニクス・高電圧パルスパワー技術によって発生・制御することにより、SDGsに貢献する様々な新しい応用技術を開発しています。例えば、誰でもどこでも使えるような小型の気中プラズマ発生装置を使った悪臭除去や、静電気力を利用した飛沫・エアロゾルの高速除去などによる公共衛生の向上(SDGs③)、液面や水中でプラズマを発生することで水に含まれる有害物質の分解や殺菌による水質浄化(SDGs⑥)、プラズマアシストによる資源循環(SDGs⑫)など、自然環境と人の暮らしの改善に関わる取り組みをしています。これらには半導体を用いた高電圧パルス電源回路が必要となりますが、これらを独自に開発・製作し、 それぞれの用途に最適化しています。研究室では教員とそれぞれのテーマをもった学生が、学内外問わず多くの共同研究先とともに、分野の垣根を越えた学際研究の推進を行っています。

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